1話  古寺 × 強くなりたい少女 × 傷だらけの師匠

2/9
60人が本棚に入れています
本棚に追加
/227ページ
 男が気を失う2日ほど前・・・ この寺に住んでいる少女、葉羽(よう)は、膝を痛めている和尚のために、ここから30分ほど離れた街まで鎮痛薬を買いに行っていた。 その帰り、古寺に戻る坂道で、倒れている男を発見したのだ。 男はまだ若いようだったが、ボロボロに衣服が破れ、体中にはたくさんの傷があるようだった。 葉羽は、それに気が付くとすぐに駆け寄り、声をかけた。 「大丈夫ですか!!!しっかりしてください!!」 「あ、、、あぁ、、、、、、」 男は少女の声にうっすら目を開けたが、また意識を失った。 「あ、あの!!しっかり!しっかりしてください!!」 何度も揺さぶりながら声をかけるが、男は目を開けない。そして、破れた衣服からは多数の傷口が垣間見えた。 「ひどい傷、、、どうしたら、、、私一人じゃこの人を抱えきれないし・・・ ちょっと可哀想だけど仕方がない!とにかくこの人を助けなきゃ!!」 少女は何かを思い立ったように寺まで大急ぎで走った。そして庭先にあったバケツいっぱいに水を汲むと、また男の元へ戻った。 そしてぐったりした男に容赦なく、バケツの水をかけた。 バシャーン!!!!
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!