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「おい、どうしたんだよ!」
弘也の声を無視して俺は考えをまとめる。点と点を繋げるにはあまりに脆い推理だ。それなのに、俺は一度導き出した結論になぜか確信を得ていた。まるでこの事を初めから知っていたのかのように。
弘也が俺の肩を掴んだ時、俺は叫んだ。
「スコップだ!」
「は?」
「あの花壇に置かれたスコップ。リビングは綺麗だったのに花壇にはスコップがそのまま置かれてただろ。他が綺麗に整頓されていただけに違和感があったんだ」
「そのスコップがどうしたんだよ。何か掘ってただけじゃねぇの」
「手間暇かけて咲かせた花を掘り起こすなんてありえないだろ。仮に花の移植に使っていたとしても、スコップだけが出てるのはおかしい。物渡しの後、安藤小春のお母さんは自分の記憶にない場所にスコップが置かれてることに気付いたんだと思う。普段から綺麗好きな人だからこそ気付けたんだ。そしてそれを動かせなかった。置いた覚えのないスコップは、娘がいた証かもしれないから」
やけに柔らかい土の感触が確信を強めていく。俺は更に力を込めて、掘り進めた。
「スコップを使ったのは安藤小春だ。園芸に使ってないとすれば、何かを埋めるために使ったと考えるのが自然だろ」
「仮にそうだとして、なんでそこなんだよ」
「ここから見える景色が、教室で見た写真の景色と全部同じなんだよ。あの写真は埋めた位置を知らせるメッセージだったのかもしれない。それなら出来の悪い写真が現像されてたことにも説明つくだろ」
その時、何かが指先に当たる感触がした。
それは四角い缶だった。その中には三人それぞれの名前が書かれた三枚のノートの切れ端が出てきた。
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