二度目の思い出

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そこに書かれていたのは、俺と弘也と安藤小春がそれぞれに当てた他己紹介だった。 例えば、泉弘也と書かれた紙にはその下に俺の字と安藤小春の字で『カメラ所持の重罪人』や『上っ面だけは良い人』などと書かれている。 安藤小春のものには『高校入ってから仲良くなりました』『だらしない』などとある。ただ俺たちがふざけて書きあったものだ。 「おい、これ見てみろよ」 にやけ顔の弘也が朝霧斗真と書かれた紙を渡してきた。『口下手』『人見知り』と悪口が並ぶ中、安藤小春の字で『二人の親友のうちの一人!』とあった。 俺たちは顔を見合わせて笑った。どちらの恋人でもなかったようだ。 きっとあの写真も、ここに埋める為のものだったのだろう。わざわざカタカナやローマ字で名前の読み方まで書いていたのは、きちんと俺たちの存在を残しておきたかったからだ。
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