二度目の思い出

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「そうだ、私達の写真も埋めようよ」 「やっと今埋め終えたんだぞ。そもそも個人名が書かれた文書を残すこと自体まずいのに」 「斗真は真面目すぎ」 「どうせ同じ記録法違反なんだしいいんじゃねえ?ほら、写真撮ってやるよ」 「既に違反者の人は気楽だね。ほら、斗真も入って。真ん中は私ね」 「おい、引っ張るなって」 「ほら、もうすぐシャッター切れるぞ、笑え笑え」 「あーもうわかったよ」 「よし、撮れた。これで俺たちがここにいたことの証明になるな」 「現像できたらちゃんと私に見せてね。写り確認したいから」 「確認しても顔は変わらねぇけどな」 「うるっさいなー」 「手で掘り返すのは大変だからまたスコップ持って来いよ」 「やったー」 「なんで喜ぶんだよ」 「どうせまた使うんだったらこのスコップ片付けなくていいもん」 「お前本当にだらしねぇな」 こんなやり取りがあったかもな、と弘也と笑い合う。 俺たちは、他己紹介に書かれた性格から安藤小春のキャラ作りをして、色んな推測をした。失われた最初の思い出を、もう一度作り上げていった。 これは故人の詮索だろうか。それとも、ただの思い出話だろうか。
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