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「月子は渡さない」
「……月子はうちの娘です!」
お父さんがあたしの前に立ちはばかり、お母さんがあたしを抱きしめて叫んだ。
「何を。今の家はさほど裕福でもない。それに、私たちの家に来ればその醜い顔も可愛くしてあげるのよ」
「月子は醜くなんかない! とてもかわいい子よ!」
「お母さん……」
「そんな月子をケガさせ捨てたクズには渡したくない、でも……月子が幸せになるのなら」
「お父さん……」
あたし、は。
「これじゃあまるであたしはかぐや姫みたいね」
あたしは苦笑いをする。
月明かりの下で拾われたあたしは、本当、醜いかぐや姫。
「でも残念でした。あたしはかぐや姫にはならないので」
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