悲しい世界

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「…………は…?」 目の前の男が発した現実味のない言葉に驚きを隠せず俺は、朝のまま寝癖のついたボサボサの髪に手をやり下を向いてみる。 (…今こいつ……死神って言った…??いや、まさかな……) 疲れすぎて幻聴でも聞こえたのだろう。 もう一度男に目をやる。 パーマがかかった髪は、藍色で髪の毛の先端に青が入っている。前髪は、右流しでもう少しで右目が隠れそうである。一重で目の色は赤。 年齢は、20代後半言った所だろうか。 フードが付いていて足首辺りまである長いだぼっとした黒い羽織ものを着ている。 全体的に見た感じなんというかだらしない雰囲気が漂ってくる。 だらしないおじさんのような。口調からだろうか。 (死神と言っているが…見た目は普通だな…) 「やっぱ混乱するよなぁ…」 と、目の前の男は面倒くさそうに頭を掻きながら言った。 「もう一度言うが俺は死神だ。お前を担当することになった死神“ジン”だ」 「……本当に死神なのか…?いや、でも大鎌とか持ってないし…」 「人間ってのは、死神=大鎌なのかよ」 はぁ、とため息をつくとジンは、手を広げなが ら右腕を方の横に伸ばした。 すると、その手のひらの近くの空間がぐにゃあと歪み始めた。 「…?!な、何だよこれ…!」 目を丸くしその空間を見つめる環樹を見てジンは、にっと笑った。 そして、その空間に手を突っ込むとそこから出てきたのは持ち手に蛇の形をかたどった装飾が巻き付けられた大鎌だった。 「これで分かっただろ。俺は、正真正銘の死神だ。」
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