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残りの人生
事態を読み込めず混乱した俺は、腰に手を当てながら頭を掻き回した。
目の前にいるやつが死神…?
………というか何故俺の部屋に?
「…お前が死神だってことは、信じてないが何となく分かった…。だが、何故俺の部屋にいたんだ?」
「あぁ…それはだな……」
ジンは天井を見上げて少し間を置いてから
「率直に言うとお前の命はあと1ヶ月しかない。」
と、言い放った。
「…1ヶ月……?」
「そうだ。俺がここに来たのは死が近くなったお前の生活を確認するためだ。」
「あと1ヶ月で俺死ねるのか?」
「…は?」
「俺、1ヶ月後にこの世界からいなくなれるのか?!」
「……」
いきなり訪れた静寂に興奮気味だった環樹は、ふと我にかえる。
「あ…おかしいのか俺…」
「いや、たまにおめーみたいに死をすんなり受け入れるやつはいるが…」
「俺、この世界になんの未練もないんだ。産まれた時から誰からも必要とされ無かった。」
「俺が死んだところで悲しむやつなんて…」
「そうか。」
「何だよ。随分冷たいな。」
「おめーみたいなやつなんてこの世にいっぱいいるんだよ。一人一人に同情してたら俺の身がもたねーっての。」
まぁこんな奴に同情されても嬉しくはないし、下手に同情されるよりマシかと、環樹は苦笑した。
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