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「そうか。それじゃいくぞー」
と言うと、ジンは大鎌を振りかざそうとした。
「え、あ…ちょ…!」
「何だよ…今お前死ぬつったじゃねーか」
「だとしても…心の準備とか色々あるだろーが!」
何言ってんだこいつって言っているような目でこちらを見てきた。
やはり、死神と人間とじゃ死に対しての感じ方が違うのだろう。こうやって何人もの魂を狩りとってきたジンからしてみれば俺の魂なんてこれまで狩った何百人のうちの1人でしかないのだから。
「はぁ…んじゃあと30分な」
「………?」
「…だから、あと30分待ってやるつってんの」
「30分…」
「え、何?30分も要らない?」
「あ、いや、いる…!」
何となく心残りがあるような気がするがよくよく考えてみればこの世界に未練なんてひとつもない。あるとすれば俺の親の行方だろうか。俺を捨てて行った親。見つけ出して恨みでもぶつけるか?いや、残り30分で見つけるなんて不可能に近い。
「んーやっぱもういいかな…」
「あ?死にたくないって言ったり死にたいって言ったり何なんだよ」
「なんか心残りなんて何も無かったなって思って」
「んじゃいくぞー」
やはりこいつには同情するとかそういう感情はないのか。
ジンの持つ大鎌が俺の頭上へと振り下ろされた。
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