悲しい世界

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そんな俺にも春がやって ーーこない。 高校生になった俺に義母は、 「環樹、もう高校生なんだからバイトでもして少しずつお金貯めて置きなさいね。」 と言った。 将来を心配してくれているのかもしれない。 だが、俺には早くひとり立ちしてさっさとこの家から出ていって欲しいなんて言っているようにも聞こえた。 いや、実際そうだろう。 「はぁ…今日もバイトか……」 家を出た俺は、重い足取りで高校へ向かった。
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