悲しい世界

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頬杖をつきながら窓の外を眺める。 雨の中で寂しげに咲く桜がなんとも美しかった。 と、その時ーー 「……?…何だあれ…」 黒い何かが風に吹かれて桜の木の前を横切った。 (……ビニール袋か…?いや、それにしては形がしっかりしていたような…。…まさか、人…?) 「…流石にないか……」 「んーじゃあ環樹ーここの問題分かるか?」 「あ、えっと…分からないです……」 (あぁ…またやってしまった…) ここ最近授業中ぼーっとしてしまうことが多い。疲れているのだろう。 (しかし、さっきのは一体…) もう一度窓の外を眺めてみるがもう既に何も無かった。 ー ーーー ーーーーーー …ガシャン!! ぼーっとしてしまって皿を落としてしまった。 「すいません…!」 「大丈夫?今日は帰った方がいいんじゃない?」 「あ、いえ…大丈夫です」 「いや、今日は帰った方がいいわ。皿も落としちゃうし、さっき注文も間違えてたじゃない。」 「……じゃあ今日は帰らせて貰います…。」 「ゆっくり休むのよ。」 「ありがとうございます。」 さっきのを見てからどうも調子が狂っているようだった。
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