第一話 見破る瞳と消えたラブレター

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 こうやって自分のことを考えていると、先輩のつぶやきが耳に入ってくる。 「でもさぁ、私の作り笑いや無理して話し合わせている所とか、夏目ちゃんにはすぐ分かっちゃうんだろうね。まぁそれはそれでいいのかもしれない。嘘がつけないなら、ありのままの自分でいるしかない。それでも仲良くできるなら、それに越したことないもんね」 「そうっすねぇ……」  先輩の言葉にドキリとする俺。  ――夏目琴葉の前では嘘がつけない。  そういえば彼女に、俺の嘘に気付いているか確かめようと思っていたのだ。それがラブレター紛失事件のせいで結局聞けずじまいに終わり、今に至っている。もう今更尋ねる勇気は俺には無かった。  ならば、俺は嘘をつき続けようと思う。彼女が何も言ってこない限り、この嘘は心の中に仕舞っておこう。  そして、  俺は考え続けよう、彼女に一体何が出来るのかという事を。だからその答えが出るまでは嘘をつき続けるのを許してほしい。  それが、俺が俺に科した、罰なのだから。
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