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第二話 埋めたい時間と埋まらない想い
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通り過ぎる生徒みんな、変な目で俺を見てくる。普通に歩いていてもそんな目で見られるのだ、今のこの状況ならなおさらだろう。
こんな状況、いやこの状況だからこそ、俺の中である懐かしい記憶がよみがえった。
あれは小学生のときだ。
あいつと俺は大の仲良しで、放課後は必ず二人一緒だった。公園で遅くまで遊んだり、駄菓子屋で買い食いしたり、家でゲームをしたり。一心同体は少し言い過ぎかもしれないが、それほどまでに同じ時間を俺はあいつと過ごしていた。
当時二人の間で流行っていた遊びがあった。それは二人だけのかくれんぼ。二人だけなので隠れる側と探す側を交互にやるだけのバカみたいな遊びだ。
だけどそんな単純な遊びなのだが、俺はいつもあいつに負けていた。すぐに見つかってしまうのだ。俺はいつも探すのに苦労しているというのに。
「隼人、見っけ」
「うわぁ~また見つかっちゃったよ。タツヤを探すのにいつも苦労してるのに、なんでお前はそんな簡単に俺を見つけるんだよ」
「簡単だよ。隼人の気持ちになって考えればいい。あいつならどこに隠れるかなって」
「じゃあ、俺もタツヤになったつもりで探せばいいのか?」
「そうなんだけど……。でも隼人は見つけられないと思うな」
「なんで?」
するとタツヤはニヤッと意地悪そうな笑みを浮かべた。腹黒タツヤの登場だ。小学生のくせして本当に悪い顔をする。それにタツヤは頭が良いので、悪だくみもまた高レベルなものが多く、こちらは逆にヒヤヒヤさせられることが多かった。そんな顔がまた似合うもんだからどうしようもない。小学生レベルの悪ガキが可愛く見えるぐらいだ。
「僕の気持ちになって探す隼人の考えを、さらに上回る場所に隠れるつもりだからさ。隼人が考えることぐらいお見通しだしね」
「なんかそれ、むかつく」
はははっと笑うタツヤを尻目に俺は悔しそうに口を尖らせる。だけど内心では少しうれしく思ってたりもした。自分のことを理解してくれている。そしてそばにいてくれている。そういう存在がどれほど貴重で大切なことか、小学生でもわかる。
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