happy halloween night

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そんな可愛いお願いを今まで聞いたことがない。 あくまでも紳士に尚之の嫌がることはしたことがないし、しようとも思ったこともない。 だが今日は違う。久しぶりに会って触れた尚之を欲しいと思っているのは自分だけなのか。 こんな刺激的な格好で誘われたらきっと、誰もがその気になる。なってもらっては困るが、なってしまうだろう。 「ドラキュラ…気に入った?」 この日の為に、尚之の顔を見たいが為に揃えたものだ。喜んでくれないと困るのだが。 まさか尚之がバニーというのはとんだサプライズだ。 漆喰の黒髪に生えた可愛い耳。下を見ればない胸に谷間が見え色っぽい。細い足に絡みつく網タイツは誘っているようにしか思えない。 これを俺のいない間に一人で着てゲームの中の男と笑い合い遊んでいるとか、なんとも腹立たしいと透は独占欲を露わにする。 「気に入ったよ。透さんは何着てもカッコいいから…」 細い腰に腕を回し引き寄せて触れるだけのキスをすると、それだけで蕩けそうな顔を見せる尚之に対しフツフツと湧いてくる感情を申し訳ないと思いながら、でも少しはさっきの衝撃を知ってほしいとぶつけてみる。 「俺の居ないところでこんな格好して、男と遊んでるのかと思ったよ」 なんのことはない誤解、早とちり、嫉妬のオンパレードは尚之の不安は自分と同じだと過信したところからきているもの。誰かに惹かれる尚之を想像するだけで転勤したことに何度も後悔した。それは離れている尚之も同じだと。自分ではない誰か。それは架空のものであっても自分以外は有り得ないと傲慢さが顔を覗かせる。 そんなことをぶつけるのもお門違いなのだが、言わずにはいられなかった。案の定傷付いた顔を見せてた尚之にゾクリと甘い痺れが走る。 傷付いた尚之は壮絶な色気を放つ。この顔も好みすぎて透をクラクラさせる。 「浮気なんて…透さんがいる…他の人なんて要らない…」 しがみつき訴えてくる尚之は可愛い。そしてその言葉を言わせたくて虐めてしまう。尚之の気持ちの確証を伺う透の弱い部分でもある。 「この男と遊んでたんだろ?楽しかった?」 顎で指した画面に映る男は、きっと恋愛ゲームか何か、流行りの顔をした男。声は声優だろう耳障りのいい声だった。 こんなものに嫉妬するなんて有り得ない話だが、離れて暮らし不安と寂しさが募っていたんだと、尚之に謝る。心の中で。もう少し付き合ってもらうよと透は口角を上げた。
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