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１週間ぶりに見るシャンデリアは相変わらずキラキラと輝いていた。そしてシャンデリアよりも輝いていた彼、もといマンションコンシェルジュさんは今日も変わらず完璧なお辞儀で出迎えてくれた。
シャンデリアをぼーっと見つめている俺の少し離れた場所で、咲間さんは電話で誰かと話をしていた。
仕事の電話かな？ それとも友達？ それとも……恋人だったりして。
なんて、目線はシャンデリアに向けられているものの、頭の中は彼の電話の相手が誰なのか、どんな話をしているのか、そんな事ばかりを考えていた。
「ごめんね。お待たせ。」
「いえ。仕事の電話ですか？」
笑顔で俺の元へ戻った彼に、不意に質問を投げてからハッとした。契約時に交わした８の掟を思い出したからだ。
『お互いのプライベートは詮索しない。』
ヤバイ。早速掟を破ってしまったかもしれない。
そんな動揺する俺の事など気に留める事もなく、咲間さんは至って普通に言葉を返してくれた。
「うん。仕事の電話だよ。待たせてごめんね。」
「いえ、すいません。」
どこか気まずそうに恐縮する俺を見て、彼は「どうして謝るの？」と不思議そうに笑った。
その笑顔の中に、眉尻に刻まれた皺や、よく見ると薄っすらと目の下にクマが出来ているのを見つけた。
もしかして、今日はとても疲れている？ それなのに無理をして俺との時間を作ったのだろうか……
疲れの滲み出た彼の顔を見て、そんな事を思ったけれど、何も言えなかった。
どこまでなら話したり聞いたりしていいのかがわからない。
プライベートってどういう事？
疲れている事を心配するくらいは許されるのだろうか……
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