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4 その正体
「あぁ……めちゃくちゃ気持ちいいよ……最高の気分……」
「それは良かったです。もっと強くして欲しい所とかないですか?」
「んー、今くらいで丁度良いよ……」
股の間に置いた枕に横たわり、バスローブ姿の咲間さんが気持ち良さそうに目を閉じている。いつもは俺がいるその場所に咲間さんがいるのは少し不思議な感覚で、同時に俺はいつもこんな風に見られているのかと少し恥ずかしくもなった。
「ひなくん……マッサージ上手なんだね……」
「ヘッドマッサージしか出来ないですけどね。」
「凄いよ……気持ち良過ぎてこのまま寝ちゃいそうだもん……」
ほとんど閉じかけの目で、眠そうな声で話す咲間さんを見てホッとした。ヘッドマッサージをするのなんて随分と久し振りだったから。
「寝ちゃってもいいですよ……あ、でも仕事がありますよね。」
「大丈夫……今日は休診日だから……夕方までは予定もないし……」
「それなら良かった。俺も今日はバイト休みです。」
その言葉に咲間さんは閉じかけていた目を開き、俺を見上げた。
あぁ、今度は上目遣いですか……寝起きのぽやっとした表情も良いけれどこれはこれで堪らない。なんて、今度はしっかりと堪能してから気付かれないように息を飲み込んだ。
ちょっと待って。俺、なんだか変態ぽくなってきてない?
変態は咲間さんの方だったのに。
「ひなくん、今日の予定は?」
「え?……あ、特には。」
「良かった。じゃぁ今日は僕とデートしよう。」
「え?……あ、はい。」
断る理由が見つからない。だってほら、その笑顔……あなたのキラースマイルに俺は抗えないから。
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