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お肉、お肉と繰り返しながらぴょんぴょん跳ね回る美代。
まるで尻尾の様にポニーテールがぶんぶんとそれに合わせて踊っている。
「ちょっと、美代さん。危ないから、キッチンで暴れちゃダメだってば」
「だって、お肉!! お腹減ったの私、お腹減った!!」
「分かってますてば。だか、もう少し待っててください」
茉奈は涎でもたらしそうな美代を見ながら苦笑した。
「はぁぁぁ、早くぅ」
「はいはい、すぐですってば」
そう言いながら、茉奈は外側がカリッと焼けた肉の塊を鉄鍋ごとオーブンに入れた。
「ほら、もう少しですから」
「生でもいいのにぃぃぃ」
「ダメです。ほら、ジャーキーあげますから、しばらく齧っててください」
「ぶー……」
プッと頬を膨らませつつ、美代は茉奈が差し出したお徳用ジャーキーの袋を持ってキッチンを出て行った。出る前に一度振り返って、恨みがましい目を向ける事も忘れない。
「カーテン開けちゃダメですよ」
「分かってますぅ」
あっかんベーをして、美代はキッチンを出て行った。
残された茉奈は苦笑するばかり。
満月の夜は特に手がかかるが、とにかく可愛くて仕方ないのだ。
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