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そこは広い公園だった。南北に長い形をしていて、歩いて通り抜けるのには十五分ぐらいかかる。
市民の憩いの場であり、駅から住宅街へ抜ける早道でもある。
それ故に、比較的遅い時間でも人は通るし、一晩中白い光が随所に点っている。
それでもあちこちに暗がりがあるし、人通りの少ないポイントというのもある。
男はそう言う場所に潜んで獲物を待っていた。
息を殺し、全身を黒い服で包み、暗闇と同化して獲物を待ち伏せた。
男は自分が怪物なのだろうと思っていた。人を殺して快感を得るなんて普通の人間がやる事じゃないと常より感じていた。だが、抑えようとは思っていない。むしろ女性を殺して喜ぶ怪物であることを、彼は誇らしいとすら思っていた。
襲い掛かった時の驚いた顔。
その直後の怯え切った顔。
命乞いをする泣き顔。
何を見ても最高に彼を興奮させた。
彼女らが必死になればなる程、切り裂いてやりたい衝動が増すのだ。
それに、ナイフを差し込んだ時の感触も女性は柔らかで心地よかった。ナイフの刃が肉にもぐっていくにゅうんという感触の心地よさと言ったらもう別格だ。
始めは小動物から始まった。小鳥や猫、子犬。そのうち、子供に暴力をふるってみたりした。これは大ごとになった。だから、すぐにやめた。一定サイズ以上の犬はこっちがケガするからパス。そんな試行錯誤を重ね、彼が辿り着いたのは小柄でやや肉感のある女性だった。
彼女にナイフを突き立てるとき、彼は絶頂に達した。彼女らの瞳から光が失われていくとき、彼はゾクゾクとする快感を得た。女を狩るという事が、自分の天職だと確信していた。
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