5人が本棚に入れています
本棚に追加
この日も男は只管に待っていた。待てば必ず報われる。彼の身上はこの日も彼を裏切らなかった。
小柄でやや肉感があり、長めの髪をポニーテールにした女性が歩いてきたのだ。離れていて顔は見えないが、そのシルエットを見ただけで十分にそそられる女性だった。
ウォーキングかはたまた散歩か。
ゆったりとした服装をして、手荷物の類は持っていない事から後者であろうと男は推測した。
何て不用心なんだろう、と男の体は感激に震えた。襲い掛かった途端、きっと彼女は、とてつもなく後悔した表情を見せてくれるだろう。
己の軽率さを呪うような事まであるかもしれない。
その様を思うだけで、彼の興奮は最高潮に達しようとしていた。
あと数メートル。それだけ我慢すれば、あの柔らかそうな肌に存分に刃を突き立てる事ができる。
最初のコメントを投稿しよう!