4日目

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4日目

 これまでは、練習として、ずっとトレースと模写だけをしていたが、今回は少し違ったアプローチを試みようと思う。  3日目、絵のトレース・模写をしている時、私は絵の中に、細かな線が引かれていることに気付いていた。  もしやこれは、かの有名なハッチングというものではなかろうか、と思った私は、ハッチングの基礎についてグーグル先生に教えを乞うことにした。  その結果、いくつかデッサンの基礎講座、といったようなページを見つけた。  ハッチングというのは、先をとがらせた鉛筆で、縦、横、斜めなどの直線を引き、濃淡を表すという物らしい。  一応、ページの指示に(できる範囲で)従って、紙の余白にハッチングの練習をしてみた。  案の定、等間隔に線を引くことはできないし、影の付け方もよく分からない。  曲面を描く際のハッチングは、曲面の接線方向に線を引く、と書かれていたので、そうしてみようと頑張ってみたが、全然できない。関数さえ与えてくれれば、方程式は求められると思うが、図示するのは難しい。  ハッチングで検索した際、ハッチングは紙を傷めるし、それで濃淡や立体感を表すのは難しいから、普通に塗った方が良い、というような事が書かれているページがあった。  やはり、初心者にはハッチングはハードルが高いようだな、と思いながら、適当なところで練習を切り上げた。  ところで、ハッチングの練習はWebページを参考にしたと書いたが、今回はさらに、コメントで教えていただいた(ありがとうございます!)、薔薇の描き方のページを参考にした練習も少しだけ試みた。  なぜ少しだけかというと、そうしたページの内容は、私にはまだ難しいからだ。しかし、こうしたページというのは、絵の上手い人が、魔法のように絵を完成させてゆくプロセスを見ているだけでも楽しく、しかも、なんだか自分でも書かれたことをやってみたくなる魔力みたいなものを持っているので、まだ早いのは承知の上で、手を出してみた次第である。  こうしたWebページに限らず、絵の描き方の指南というのは、多分に非言語的である。  「花びらをバランス良く配置します」なんて言われても、私には何がどうなればバランスが良いのか、全くもって分からないし、「まずは全体のアタリをつけて、そこから濃淡をつけて描いてゆきます」と書かれた横に、ぼんやりした円と、もうこれで完成じゃないのか、と言いたくなるような、見事なデッサンが並んでいたりしたら、狐につままれたような気分になる。  勿論、こうした指南書に罪はない。バランス良くはそれ以上開くことができない概念なのだろうし、アタリをつけたらところから、濃淡をつけて描くまでの間に、言語化すべきステップはないのだろう。悪いのは、そうしたことに無頓着に生きてきた私の方である。  閑話休題。  Webページの中から、比較的詳しく書かれている物を選んで、指示に従って書いてみる。  途中、花びらの形を好きに整えよう、ひねったり、ひらひらさせてみたりすると良いです、といったようなことが書いてあり、心が折れかけたが、なんとか描き進めてゆく。  その結果が、下の画像の中央の絵である。 29d05aac-58c0-403b-abf7-fca2bb5fee34  薔薇という概念が崩壊しそうな、何とも不可思議な絵である。何か別の植物っぽいけど、薔薇と言われたらもしかして薔薇かも……?という雰囲気が残っているのが、絶妙に気持ち悪い。  出来の如何はひとまず置いておくとして、この練習で分かったことは、やはり薔薇の絵では、花弁の大きさのバランスが非常に重要だということと、中心の花弁の壺のような形を意識して、それに沿うように外側の花弁の形を整える必要があるということだ。  特に後者の方については、花の構造を意識する、という事が、少しだけ分かったような気がした。また、花弁の輪郭だけではなく、外側に開いたときの折り目(的なもの)の部分の線も、普通に線として描けば良いという事も知ることができた。  画像中の、残りの2つの絵は、左側がトレース、右側が模写。使った画像は、3日目の輪郭線ありの画像。  せっかくなので、影の部分をハッチング(もどき)で描いてみた。大分無茶をやっているな、というのがよくわかる。  ハッチングで濃淡を出すには、目的の濃淡に対して有効な角度というのがある、ということを実感できたのが面白かった。だが、結局最後まで、どの角度が有効なのか理解できなかった。  ハッチングで濃淡・立体感を出すというのは、今回のチャレンジには適していないようである。
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