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第七話 燃える心
9回表、僕たちの攻撃。
中今のキレのあるストレートに加え、ググッと曲がって、ストンッ! と落ちる超・スローカーブに翻弄され、トントント~ンッと、あっさり三者凡退。
一点差を守り切るか、同点に追いつかれても、延長で再び勝ち越すしか、僕らの勝ちはない。
9回裏、西葛先輩に代わって、左のサイドスロー山遠先輩がマウンドへ。
一人目をストレートとスライダーで三球三振。二人目を、初球のカーブで、レフトフライ。トント~ンッと2アウト。
あと一人。
ここで、右の本格派・大田中将先輩がマウンドへ。ファーストに山遠先輩が入り、僕はベンチに下がった。
大田中先輩の気迫溢れるストレートが、ズバーン! ズバーン! ズバーン! と、内角、外角、ど真ん中と、それぞれ低めに決まり、ゲームセット!
何とか、僕たちは準決勝にコマを進めることができた。
が、しかし、この試合で、投打の柱・オータム先輩を失ったのは非常に痛かった。
しかし、9回の裏、山遠先輩、大田中先輩が、ピシャリッ! と抑え、準決勝に向けて弾みを着けることができたのは大きかった。
僕たちは、試合の帰り、オータム先輩が運ばれた病院へ立ち寄った。
オータム先輩は、右足首をギプスのようなもので固定されていて、とりあえず、ベッドに寝転んでいた。
「勝ったよ!」
「よっしゃーッ!」
田古先輩が報告すると、飛び起きそうにオータム先輩が跳ねて、「あ、イテテテッ!」、と右足首を押さえた。
「で、足首どうなん?」
田古先輩が訊ねると、
「幸い、靭帯切ったりとかはなかったんだけど、強度の捻挫みたいなんだよね」
「そっかぁ~。準決勝……、厳しい……、なぁ~?」
「そうだな~……、何とか、出られないかと、処置してもらってんだけど、この状態だとな~」
「そうだよな~……」
田古先輩とオータム先輩の会話をみんなで聞きながら、ちょっと暗くなり掛けた。なので、僕がちょっと高校生男子らしく、爽やかに茶化すことにした。
「で、オータム先輩!」
「んっ?」
「可愛い看護師さんは?」
「んっ?! ……めっちゃいてる!」
「な、何やて~~~ッ!」
高校生男子である、みんなのスケベ心に火を点けてしまった!
「俺も入院してぇ~ッ!」
と、みんなが言い出した!
「たぶん、出場無理っぽいから、クーラーの快適温度のこの病室で、可愛い看護師さんたちに囲まれながら、ケーブルテレビで応援してるよ!」
「まぁまぁ~、冗談はこれぐらいにして、お前の分まで、しっかり高校野球して来るよ! なっ、みんなッ!」
「はいッ!」
笑いあり気合いあり。田古先輩の言葉で、準決勝に向けて、みんなの心が燃えて来た!
そのとき、
「オータムさ~ん、お薬お持ちしました~ん♪」
と、僕たちの前に、めちゃめちゃ色っぽい看護師さんとめちゃめちゃ可愛い看護学生が病室に入って来た!
準決勝に向けて、燃えていたみんなの心は、一瞬で、も、も、萌え~~~ッ! と、萌えていた♪
「オータム、準決勝の心配はしなくていいから、できるだけ長く入院していてくれ。毎日見舞いに来るから……」
みんなの思いを、田古先輩が代弁して下さった。
さすが、キャプテン♪
うちの部を代表するスケベ~だ♪
ニャハッ♪
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