第五話 アクシデント

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第五話 アクシデント

 オータム先輩がタンカーで運ばれたッ!  一塁を蹴って二塁へ向かう際、一塁ベースを変な感じで踏み、痛めたらしい。痛みを(こら)えてそのまま全力疾走(ぜんりょくしっそう)で二塁打にし、チャンスを広げてはくれたのだけど……、靭帯(じんたい)とか切ったりしていなければいいのだが……。  オータム・ショーン・へイリー、突然の負傷退場……。  エースで四番、投打の柱がいなくなった……。 「とにかく、オータムの広げてくれたチャンスを、みんなで活かそう!」  五番、キャッチャーでキャプテンの田古(たふる)先輩の一言で、僕たちは、動揺していた気持ちを、「試合に集中ッ!」と、切り替えた。 ー 『セカンドランナー、オータムくんに代わりまして、ブンケリッジくん!』 ー  俊足の、ブンケリッジ矢須加(やすか)先輩が代走に告げられた。  右打席に入った田古先輩は、ヒッティングの構え。  ピッチャー、第一球、モーションに入った瞬間、田古先輩、ヒッティングからバントの構えッ! ー ドンッ! ー 「ボール」  内角をえぐる際どいシュートだったので、田古先輩、お腹を海老のようにすっこめて、ボールをかわした。  二球目は、最初からバントの構え。二塁のブンケリッジ先輩は、一球目より、少し大きめのリードを取っていた。  ピッチャー、投球モーションに入ると、ブンケリッジ先輩が、三塁へ走った!  ファーストとサードが、送りバントにプレッシャーを掛けに突っ込んで来る中、田古先輩がヒッティングに切り替え、外角低めへのスライダーを、逆らわずに、合わせた!  打球は、一二塁間(いちにるいかん)、内野の頭を越え、ライト前ヒット!  スタートを切っていたブンケリッジ先輩は、悠々のホームイン!  4ー0。  大らかソフトナの、ここ一番の集中力と集中打は、ほんとにスゴかった!  六番、七番、八番と、左バッターが続くところで、相手ピッチャーが右の浪藤(なみふじ)から、左の速球派・中今(なかいま)に代わった。  キレのあるストレートに、二塁への併殺打と三振で、僕たちのビッグイニングが終わった。  7・8・9回裏、さぁ、どう切り抜ける? 大らかソフトナ高校! ー 第六話へ、つづく ー
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