第10章 わたしの男

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「だって。…考えてみたら俺たち、こういうシチュエーションで普通にしたことないし。なんか彼氏彼女みたいで、ちょっと興奮するよ。…二人きりで旅行して宿に入るなり服を剥ぎ取って明るいうちからめちゃくちゃやりまくる、なんて。たまにはいいな、こういうのも」 首筋に顔を思いきり埋め、舌を這わせてわたしを身震いさせてからいきなり不意打ちで強く吸いついた。その緩急の塩梅が絶妙で、つい声を上げて反応してしまう。…ほんとやだ、お互いの身体の何もかも知り尽くした長年の付き合いのセックスフレンドなんて。何処がどう感じるか、全部お見通しなんだから。 本気で頭に血が昇ってるらしく、珍しく手がおののくように震えてる。その手でもどかしくわたしの胸元を乱暴にはだけてそこだけ剥き出しにした。それからスカートの中に手を入れてぐい、と下着を下ろして足先から抜いたと思うと。 素早くスカートをたくし上げて下半身を露わにさせて、脚を思いきり大きく開かせた。 「や…っ、そんな。顔近づけて、見ないで」 「何言ってんだ、お前こそ今さら。ここは奥の奥まで俺のもんだろ。これまで数えきれないほど突っ込まれてんのに。何がどうして、恥ずかしいんだよ」 「だって。…明るいよ、すごく」 かあ、と耳や喉もとが火照る。 普段はいつも、せいぜい夕方くらいからこそこそと川田の部屋に集まって。当然カーテンも何もかも閉めっきり、薄暗い部屋でわらわらと大勢で身体をぶつけ合ってどさくさに紛れてやられるから。 恥ずかしいとかためらい感じたりとかそんな暇も全然ない。あっという間にいやらしい格好させられてわけもわからないうちに男たちに群がられていきなり弄ばれるのが普通だし。 こんな風に、お互いの顔がはっきり見える平和な昼間の光の中で。三階の部屋だから外から見られることはそんなに心配要らないとはいえ、カーテンも全部開けっ放し。それでよく知ってる仲の友達に、全部拡げられてまじまじとそこを舐めるように観察されてる、って思ったら…。 つ、とそこをなぞられて声を出してのけぞる。 「あっあぁんっ、やぁ…ん」 「すご、濡らしてんな。俺に見られるだけでこんな?しかしエロいな。いつも見てるし、舐め回して弄りまくって奥まで数えきれないほど何度も突っ込みまくってるのに。…お前のここ、全部知り尽くしてると思い込んでたけど。昼間の明るいところでよく見ると、また感じが違うもんだな。色とか形とか。…こんなだったんだ、茜のやらしいとこ…」 「いやん、もぉ。…恥ずかしいよ…」 身体を捻って少しでも脚を閉じようとするけど。思ったより川田の腕の力が強くて思うようにいかない。顔を寄せてちろ、と膨らんだ蕾の先をほんの少し舐められて。びくん、と腰が弾んでしまった。 「あっだめ、焦らさないで…ぇ」 「もっとめちゃくちゃ弄ってほしい?ほんといやらしいな、茜の身体って」 川田が嬉しそうににたにた笑ってるのがわかるけど。わたしはもう反論もできないくらい、そこをぶるぶる震わせて身悶えするしかできなくなってる。 わたしの欲情を愉しむように、はだけられた胸元からはみ出た乳首を軽くきゅっと抓ってみせた。 「ん…、っ」 「感じてるな。恥ずかしいぞ、こんな風におっぱいとあそこだけ剥き出しで。せっかく服着てるのに、大事なとこだけ丸出しじゃん。これじゃ、男にやられたいって言ってるも同然だよ。…あそうか、ほんとにやられたいんだったな。見られるだけでこんなにぐちゃぐちゃに蕩かせて。早く弄って挿れて、って。下の口がひくひくしながら一生懸命喋ってるぞ…」 「あっんんっ、そこ、もっと…ぉ」 くりくり、と焦らすように弄られて指を離そうとするのを腰を回して何とか引き止めようとする。だんだん普段の素っ気ない冷静な自分が吹き飛んで、中から理性のない剥き出しの女そのものが顔を覗かせ始めたのがわかった。 わたしは半分涙声で、腰を回しながら必死で川田に懇願する。 「お願い、もぉそれ以上焦らしたら…。あたし、おかしくなっちゃう。早く、もっと。…そこ弄って、中も挿れて。指でもなんでも。…いいから」 わたしの発情しきった顔を熱っぽい瞳で覗き込んでいた川田が、何かが込み上げてきたみたいにいきなり覆い被さってきた。口を大きく開けてめちゃくちゃにキスされ、思わず喘ぐ。 「…ほんとに可愛いな、茜は。どこもかしこも、全部食っちゃいたいよ。いっぱい舐めて吸ってやる。ここも、…ここも」 「あっはぁんっ、いやぁ…ん」 顔が下に降りていって。胸にむしゃぶりつき、片手で脚の間を弄りながら思いきり乳首を吸い、先をがり、と噛む。今日はちょっと意地悪かも。わたしは甘く悲鳴のような声を上げた。…弄られてるそこからどっと熱いのが溢れ出す。痛いけど、…感じちゃう…。 「すごい、今溶け出してきたな。あっためたバターみたい。…ここの味も。確かめてみるか。いつもと同じかな?」 「あ、んっ、嬉しい。…もっと、舐めてぇ…」 エッチな声が喉の奥から止めどもなく漏れてくる。奴のわたしを知り尽くしたざらざらの熱い舌が。…感じるいいところばかりを、これでもかとばかりに責めてきて。気持ちよくて、もぉ。…おかしくなりそう…。 わたしは川田の頭に両手を添えて愛おしく髪をかき乱し、腰を振って甘い声を上げて全身を弾ませた。確かに、こうしてれば。 複雑なことや面倒なことは。何も考えなくて済む。ただこの気持ちよさに、何もかも任せて溺れていれば…。 うっかりそんなことを考えた拍子に、不意に現実が頭の端から決壊したようにどっと脳に侵入してきた。
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