桐生 聖哉と政宗医師の秘め事

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「なぁ、知ってるか? 今ってエラい美形な先生が社内のカウンセリングルームに来てるらしいぜ」 社員食堂で向かいに座る佐伯が話しかけてくる。 「ふん、そうか…」 「なんだよ、その気のなさそうな返事は〜」 「実際、どうでもいいだろうが」 ランチセットのコールスローサラダを口に運びながら答える。 「まぁ、そうだけど……っていうか、俺はおまえの方が断然イケてると思うがな」 じっと見つめる視線につい顔が赤らみそうにもなって、目を逸らし、 「……イケてるとかイケてないとか、どうでもいい」 口の中のキャベツとコーンをアイスコーヒーで呑み下す。 「おまえはそう言うと思ったが、でも一回ぐらい診てもらったらどうだよ? 女子社員たちもやたら盛り上がってるみたいだし」 毎度押し付けがましい佐伯に、「ああ、」とその場しのぎな返事をして、「先に、戻るからな」とテーブルを立った。
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