マラソン大会

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 クラス内で一位を取り、あとはマラソン当日に他クラスの生徒と戦うこととなる。私はその日に向けて、より長い距離を走り込むようになっていた。  しかし、ある日ふと感じた。陸上部男子の対応が素っ気ないのだ。最初は思い過ごしかなとも思った。そもそもそういった態度をとる男子ではなかったのだ。だが、素っ気ない対応は次第に冷たくなり、しまいには無視するようになったのだった。  もちろん思い当たる節はある。彼は陸上部だ。そして私は帰宅部。彼には陸上部としてのプライトがあった。彼からしてみたらこの結果は面白くないことこの上ないだろう。もともと人と争うことを好まない私にとってこの出来事はとても気に病んだ。上に行くためには誰かを蹴落とさなければならない。そんな単純なことを私は忘れていた。  そして私は走ることをやめた。  上を目指すのをやめ、仲の良い友人と合わせてゆったりと走るようになった。今までの走り方からするととても楽である。友人と話すのはもちろん楽しい。けれどもあの時の充足感は得られはしなかった。そして身体はそちらへと適応していく。走ることが苦しくなるようになっていくのだった。
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