マラソン大会

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 マラソン大会当日、私は友人と一緒に走ろうと約束をした。心の中ではどこかで離れるんだろうなと考えていたが、わざわざ口に出す必要はない。  スタート時刻が近づき、生徒はスタートラインに並んでいく。300人が川沿いの土手に並ぶのだから、先頭とビリは並んでいる時点で差がついている。  私は前に行きたいという気持ちもあったが、着いていけるわけもないとわかっていたので大人しく中間辺りに並ぶ。これから起こる非日常に周囲はざわついている。私の心臓もその非日常を楽しんでいるらしく、大きく跳ねている。そしてスタートの笛が鳴り、大群が同じ方向へと駆け出した。  先頭はトップと取ろうと集団から離れていき、やる気のない者はほとんど最初から歩きだす。開始十分で青い大群は線のようになっていた。  私は約束した友人や他の友人と共に流すように走っていた。最初の方は走り切れるか、何位になると思う、など雑談を交わしながら走っていたが、次第に口数は減っていき、リズミカルな呼吸音と砂利を踏み込む音だけが耳に入るようになっていた。  マラソンコースは平坦ではなく、起伏の激しい坂が何箇所もある。体育の走り込みでは平坦なコースの周回しかしていなかったため、予想以上に体力を消耗する。半分を過ぎ、コースを折り返すと肉体には疲労が溜まっていた。正直走り続けることが苦しい。なんで私は走っているんだろう。そんなことを思うようになっていた。
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