マラソン大会

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 コースの4分の3ほど走ったところの坂で私の心は折れた。坂だし、小走りも歩くのも大差ないじゃないかと思ったのだ。そして一緒に走っていた友人に「ここは歩こうよ」と提案した。  友人は聞こえていなかったのか返事を返さず、そのままのペースで走り続けた。いや、隣には私しかおらず、聞こえないはずがないのだ。友人は私の提案を拒否し、走り続けることを選んだ。私は苦しいと思いながらも、引っ張られるようにその友人の後を追うように走り続けた。  ゴールラインが見え、次第に心が晴れていく。すると重たかった足が自ら前へ前へと進もうのするのだ。まだ私にはそれだけの力が残っていたのだ。  ゴール直前で私は全速力で走って5人ほど抜き、150位となった。本当に真ん中で友人とこんなもんかと失笑したりもしたが、私は心の中で彼に感謝していた。彼がいなければこの150位はまた別の150位になっていたことだろう。  そして陸上部の彼は何位になれたのだろうかと思ったりもしたが、興味がなくなっていたのでそれ以上は考えたりはしなかった。
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