第5話 階段の怪談

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冷めてきてしまったコーヒーを飲み、先輩が再び口を開く。 「亡くなったのは、女子テニス部の生徒です。二年三組の子でした」 僕と夏世は二組、隣のクラスの生徒だ。 「見つかった場所は旧校舎三階の階段です」 旧校舎には化学室、物理室、生物室、家庭科室などが集まっている。 移動教室でしか使わない校舎と言うイメージだ。 「階段の怪談……」 駄洒落のような響きだが、真面目に呟く夜深。 うわさの七不思議にも階段に関するものがあった。 僕と同じ考えに至ったのか先輩と夜深も頷く。 偶然にしては嫌な一致だった。
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