第1話 生徒会長

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第1話 生徒会長

終業のチャイムからしばらくたって教室を出た。階段をゆっくりと降り、目的の場所へと向かう。 窓からは夕日が差し込み、長い廊下を茜色に染めた。 ――彼女はまだ、残っているだろうか。 ほんの少しの不安を胸に抱えたまま、生徒会室のドアを開けた。 長い黒髪が夕日と同じ茜に染まり、その後ろ姿は神々しく感じられるほど美しい。 「並木(なみき)先輩」 声をかけると彼女はゆっくりと振り向いた。茜に染まった髪がさらさらと流れる。 「初めて会ったときから好きでした」 生まれて初めての告白。 どんな答えが返ってきても、驚かないつもりだった。 でもその決心は、彼女の次の一言で揺らいでしまう。 「誰よ、あなた」 突き放すのではなく、嫌うのでもなく、彼女の口から出た一言は単純な疑問だった。 その反応に、かえって僕のほうが混乱してしまう。 何をどう説明しようか、僕が混乱していると、ガラリと教室のドアが開かれる。 ドアの方を振り返ると、そこには彼女に瓜二つの……。 「あれ、ソラ君?」 僕の名前を呼び、頭に疑問符を浮かべているその先輩は間違いなく並木先輩だった。
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