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ボロ屋の剥がれかけた板が風に煽られガタガタと暴れ始めた。風が冷たい。そろそろ秋も終わりかもしれない。
崩れかけの納屋を寝床にし始めて1ヶ月が過ぎた。年端もいかない子供が俺も含め4人、人目を忍び生活している。
もし大人に身寄りのない子供だとバレてしまえば終わりだ。保護施設という名ばかりの豚小屋に突っ込まれ、ゴミ屑のような残飯だけで死ぬまで働かされる。
この裏路地で生活していた仲間がもう何人も連れて行かれた。あんなのは死んでもごめんだ。
一番小さいリリィが藁の上で震え始めた。隣で寝ていたアナとレオがリリィに藁をかけるのを横目に、俺は慌てて土嚢を隙間に当てる。定期的に居住場所を変えてきたがここももう限界だ。冬が来る前に拠点を移さなければ。
そんなことを考えていた時だった。
ジャリと砂粒の擦れる音がした。それは納屋の外からで、息を潜めるほど段々と近づいてくる。
とっくに異変に気付いていた勘のいい2人はリリィと藁に隠れていた。僅かに目を覗かせていたレオに向けて指を擦り合わせて見せると、慌てて近くにあった麻袋を懐に隠した。
あれは死にもの狂いで稼いできた俺たちの逃亡資金だ。あれで西へ行き、真っ当な施設で保護してもらう。あの汚い袋は俺たちの夢であり希望だった。
一度深呼吸をする。自前のブロンドが冷たく頬を撫でた。フードを深く被り、まだ一度も使ったことのない拳銃を握りしめる。あまりの冷たさに一瞬身震いした。
もし悪名高い子供狩りの警官なら迷わず撃つ。大丈夫だ、あんな私腹に肥えたデカい腹相手なら俺は絶対に負けない。
心配げに目だけを出しているレオ達に一度だけウィンクをして俺はそっと扉を開けた。
その時だった。
ドサリと鈍い音と共に扉が振動した。何かが扉の向こうを塞いでいるようで、押そうにも抵抗がある。ゆっくり体重をかけ隙間からそっと覗いた。
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