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夏海3
夏海は冷蔵庫に顔を入れて何かを探している。
「夏海、何やってんの?」
たまたま通りがかった母が不思議そうに見つめた。
「プリンが無いんだよね。」
「最近アキ、コンビニ行ってないよ。」
「そうなの?
どうしたの?」
夏海は冷蔵庫から頭を出して聞いた。
「わからないけど……。
夏海は何も聞いてないの?」
「うん。
聞いてない。
だけど……この間服のまま寝てて、朝、顔が腫れてたんだよね。
泣いたのかな?」
「それっていつ?」
「えーと……31日だと思う。」
「じゃあその前の日よ。
その日がコンビニに行った最後の日。」
「なんだろう?
何か変わった様子はなかった?」
「うん。
特別ないけど……最近アキが好きなものを前より食べたがるくらいかな。
前は今日お肉食べたから明日は魚って感じだったんだけど、最近はそういうの関係なく毎日好きなものをリクエストしてくるわね。」
「ふうーん。
なんだろう。」
夏海は小首をかしげながら部屋へ戻った。
机の上のアキと夏海の連絡ノートを少し前に遡って読んでみるけど、ヒントになるような事は何も書いていなかった。
ノートに『アキ、最近何かあった?』と書き込んでみる。
だけど次の日にノートに書いてあった言葉は、『何もない。何もなさすぎてつまんない。』だった。
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