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*煙草
奏でる曲が流れる度に煙草を吸っては、吐く女性。街頭の路地裏にある箱に座っている。
たまたま通りかかった咲希が路地裏に目をやる。肩下まで伸び切った黒髪を耳にかけながら煙草を吸う女性。
その女性の姿に対して、一匹狼みたいで格好良く感じた。咲希は単なる好奇心で路地裏にいる女性の傍まで近付く。
「あんたも吸うかい?」
喫煙者と勘違いしたのか女性が煙草の箱を渡してきた。煙草など吸った事がない咲希は、一旦戸惑いを見せたが、煙草の箱を手に取った。
箱の中にある一本を取り、女性からライターを渡される。
そのライターをカチッと鳴らし火を出した。煙草を口にしたまま火を近付けて簡単に灯す。
ひと味を味わう為に吸ってしまう。けれど初めての味と煙たさでむせた。
「もしかして、初めて?」
女性に悟られてしまいながらも、手で煙草を持つ。咲希は堪らず咳き込んだ。
「う、うん・・・・・・」
「阿呆か」
すぐさま煙草を取り上げられてしまい、靴の裏で煙草を踏み潰した。
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