拒否反応

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なんとなく居心地が悪くなって、 「お父さんもラジオを聴くの?」 と聞いてしまう。 出しゃばった言動はやめようと思ったばかりだったから、すぐに後悔したけれど、 「聴いてるみたい」 戸崎くんが気にするそぶりも見せずにそう言ったからほっとする。 「そうなんだ。それはちょっと嬉しいかも」 憧れの作家と同じ時間に同じラジオを聴いているのかと思うと、なんだか不思議だ。 「お弟子さんが、父のすすめで投稿してるみたいで。選考に携わっている作家と知り合いということもあるらしいんだけど」 「そうなの?」 そんな裏話まで聞けて、思わず上擦った声を出してしまう。案の定、本棚と本棚の隙間からこちらを見ていた、貸し出しカウンターの女子生徒と目が合う。この間の子だ。注意される前にこちらから頭を下げて謝った。 「……ごめん、声が大きかった」 小声でまた戸崎くんにも謝ると、彼はまた微笑む。 「内緒だよ」 そう言われ、自分の胸が高鳴ったのを感じた。    
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