5247人が本棚に入れています
本棚に追加
/172ページ
「認めたのね、戸崎くんへの恋心を」
乗り込んだバスが発車すると、沙和がすかさずそう言ってきた。
「嶋野さんから聞いたの?」
「うん」
「まぁ、そういうこと。たぶん」
適当に返事をすると、ふてくされる沙和。
「つまらないなぁ、その投げやりな感じ。もう少し頬を赤らめたり、咳き込んだり、やーだーとか言いなよ」
「やーだー」
「棒読みだわ」
いつもの工事の道に入り、身体が小刻みに揺れはじめる。ここの工事は、いつになったら終わるのだろうか。
「でもイケメン幼なじみはいいの?」
「なんで、そこで川北くんが出てくるの?」
「なんとなく? だって、結子、川北くんにだけ態度が明らかに違うじゃない」
そういえば、嶋野さんにも同じことを言われた。
最初のコメントを投稿しよう!