再会

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『そろそろ帰んなきゃ、お母さんが心配する』 そう言って切り上げようとした将ちゃんを、 『まだ帰りたくない』 と毎回のように引き止めていたのは私のほうだった。 『お父さんもお母さんも帰りが遅いもん。それに帰ってきても、この前……』 『何かあった?』 『……お父さんとお母さん、すごく大きな声で喧嘩してた。それからふたりとも、あんまりおしゃべりしなくなって……』 ノートの上に置いていたクレヨンが、風が吹いたことで転がっていく。私はそれを目で追いかけながらうつむいた。 泣いていると思ったのか、将ちゃんが私の顔をおそるおそる覗き込む。顔を上げると、将ちゃんは涙がないことにほっとしたような顔をして、私の頭にぽすんと手を乗せた。 『大丈夫だよ。喧嘩のあとには、必ず仲直りがあるから』 『……そうかな』 『俺らだっていつもそうだろ』 にっと笑ってまた頭をぽんぽんと撫でてくれた将ちゃんは、本当に王子様みたいだった。将ちゃんならどんなことがあっても自分の味方でいてくれると、あのときの私は心の底から信じていた。 *****
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