拒否反応

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「沙和、帰ろう」 これ以上ここにいたらまた気分が悪くなりそうだと思い、席を立つ。 「あっ!」 すると、同時に嶋野さんが大きな声を上げて、私たちは彼女の方を見た。 「お店のカード、家に置いてきちゃった。地図が書かれてたのに……」 「なんとなくでも覚えてないの? あ、お店の名前は? スマホで検索できるんじゃない?」 即座に沙和がそう言って嶋野さんに駆け寄っていく。 「今日に限ってスマホ家に置いてきちゃって。えーと、名前はたしか……シャ……? シュ……? シェ……?」 首を傾げながら、必死に思い出そうとしている嶋野さん。そして、嶋野さんの代わりにスマホをスタンバイして、「シャ? シュ? シェ?」と同じように繰り返している沙和。まったく話が進まないふたりの会話にため息をつく。これではいつまでたっても帰れない。 「私、場所だいたいわかるかも」 しびれを切らしてつい口をはさんでしまった。すると、沙和と嶋野さんが同時にこちらを見る。 「ほんと?」 声を揃えてそう言ったふたりは、助かったと言わんばかりに目を輝かせていて、今さら断ることはできなかった。  
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