拒否反応

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***** 秋風が、木々の間を細く通り過ぎていく。そのときの私には、その風が目に見えていたように思う。私と将ちゃんは、その中を秘密基地に向かって歩いていた。 ザクザクと音がするのは、落ち葉をわざと踏んでいるから。途中で落ち葉がこんもりと山になっているところを見つけて、私たちは一目散にそこまで走った。 『アハハ。すごいすごい』 『やわらかいな』 ふたりで落ち葉を踏む感触に夢中になる。永遠と続けられるような気がした。これでもかというくらい落ち葉を散らかしたあとで、私は将ちゃんにたずねる。 『ねぇ、将ちゃん。これって、誰かが掃除して集めてたんだよね?』 『まぁ……でも、今日は風が強いから、どのみち散らばるだろ』 『うん、そうだよね』 そして、ふたりで悪い顔を見合わせてその場を去った。将ちゃんとなら、いたずらも特別な遊びだった。 『そういえばさ、去年の冬は雪が降ったよね?』 『ああ、結子が雪だるまをつくろうとしたけど、小さすぎてすぐ溶けたよな』 話しながら秘密基地のアーチをくぐって中に入った私たちは、ランドセルをその場にどさっと落とす。まるでここがふたりの家だと言うように。 『今年も降るかな? 降ればいいなー』 『俺、降ると思う!』 『私も降ると思う!』 互いに人差し指を立ててそう言うと、将ちゃんが、 『カケにならないだろ』 と笑った。
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