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『わかったよ。それじゃ、あさってはここで待ってるから』
『うん。楽しみだなぁ』
『ほかにも何かするんでしょ?』
将ちゃんの質問に、私はパンッと手を合わせて『うん!』と上機嫌に返事する。
『ごちそうはお母さんがつくってくれる予定。それでね、なんと、ケーキは私が頼んだんだよ!』
『頼んだ? お金払うのは、結局お母さんなんだろ?』
『ケーキをもらいに行くのはお母さんと一緒だけど、お金はちゃんと自分のだよ。お年玉をね、残してたの』
正しく言うと、残していたのではなく、たまたま残っていただけだった。
お年玉はお正月に全部お母さんに預けて、そのうち五千円だけは自分で考えて使っていいよ、と言われ、小さい自分用の財布に入れていた。今までにお菓子や文房具をいくつか買ったけれど、まだ残っていたのだ。
今回この計画を思いついて、お母さんに『私がケーキを買うね!』と提案したら、とても喜んでいた。その顔を見た私も、ものすごく嬉しくなったんだ。
『そうなんだ。すげー』
『すごいでしょ!』
鼻を高くした私は、将ちゃんの目の前でくるりとターンをした。将ちゃんは、『なんだそりゃ、お姫様のダンス?』と言って笑った。
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