アルコール依存症と私

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あるとき、単身赴任から一時帰宅した旦那がシャワーを浴びている時のこと 旦那の携帯の着信音が鳴り、 メールの着信画面が表示された。 いつもなら、スルーをして旦那の携帯になど目もくれないのだけど… 最近本当に連絡が無くなってしまったこともあり、思わず画面を見てしまった。 今思えば、その行為自体が良くなかったのかもしれない。 ルミ…とう宛名で 旦那宛に 「こないだはありがとぉ!また温泉一緒に行こうねっ!」 というメッセージが画面に表示されていた。 画面を見た瞬間、私の中の何かが音を立てて崩れていくのが分かった。 今までいっぱいいっぱい我慢してきたことの 糸がきっとプツリと切れてしまったのだと思う。 「ママ…?」 振り返ると娘の(みお)がお気に入りのクマのぬいぐるみを抱いて心配そうに私の顔を覗いていた。 こんなに可愛い娘がいるのに、 家庭をぐちゃぐちゃになんて出来ない。 「どーもしてないよ〜。 ごめんね、ちょっとぼーっとしちゃった!あ、澪ちゃん今日は何の絵本読もっか! 好きなの読んであげるよ」 と懸命に作り笑いをした。 「ほんとぉ?ママっ、ありがと!!」 その屈託のない笑顔を見たときに、 絶対この笑顔は壊してはいけないと思った。 私が感情的になって、泣き喚いたり当たり散らすのは簡単だったと思う。 でも私のすべきことはそんなことじゃない。 そして私は いいママ、いい奥さんでいることを選んでしまった。 その夜、旦那が寝静まってから 私は晩酌を初めてしてしまった。 昼間は缶チューハイだったから、 家族にバレないように 旦那用に買ってあった日本酒を開けて 静かに泣きながら呑んだ。
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