第二章 山窩の太郎丸とこふゆ夫婦

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喜州 山の中 根黒寺 境内にある 本堂に続く建物 ここでは御蔵と呼ばれている黒い小さな小屋へ 「お頭ぁ 黒縄坊より連絡が入りました なんと 千本坊に続いて 覇力坊も討たれたとのことです 根黒寺の僧兵を寄越して欲しいと言って来ましたぁ」と 僧兵の一人が 小屋にいる 根黒忍法僧の頭  根黒 厳鐘院(ねぐろげんしょういん)へと告げます 今まで 眠っていたのか  汗を拭いては 「うむ どうも 厄介なものが印西の小僧に付いたようだな まあよい 大居坊(おおいぼう)よ お前中心として十名僧兵を 黒縄坊のところへ向かえ 誰を連れて行くかは貴様に任す」と 威厳ある顎髭を擦りながら 今駆け込んできた 僧兵 大居坊に命じました。 大居坊 命令を受けてすぐに 人員を整えて 出立する準備に入りました それを見送りつつ 根黒 厳鐘院 自身の浮かない顔を 鏡に映しては  今見ていた悪夢を思い出しては。。。。。 「あの主家を裏切った獣のような松永ダンジョーでさえ このわしは恐れなんだが あやつ 尾張のおおうつけノブナガめぇ あやつだけをわしは恐れているのか? いやいや 恐れもなにも あと数年後には あの神仏をも恐れぬうつけが 叡山のみならずで我が根黒寺をも焼き討ちにする 予見夢をこれで三度びみた もはや 実際に起こることじゃ 我が忍法 血生改身の術も 黒縄坊の女髪生身の術だけでは 根黒忍法僧は滅びてしまう 早く そうじゃ 早く 印西の里の無間の眸の小僧を手にいれねば このままじゃ 滅んでしまう 」 と 何を夢にみたのか 根黒忍法僧の頭 老爺 根黒 厳鐘院 鏡に向かって 呟いているのだが どうも 根黒忍法僧が 印西の里の 御堂護少年を狙う目的はここにあったようです。
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