序章 追われる少年

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根黒忍法僧達 一斉に あの少年を見つけるため 印西の里方面へと走り去って行きました しかし  御堂 護少年 これは幸運だったのか? あるいは 計算によるのか? 荒れ寺より たいして離れていない 樹上にて  敢えて 急いで進まず そこで 父や颯を待つことにしていたため 先に急いで消えたと思っていた 根黒忍法僧達を欺くことになりました 「先程 火柱の術が使われたけど 父上 遅いなあ そうか もしや こんな近くに私が居残ってるなど思わず 先に行ってしまったのかも ならば 猿公の術で 樹上から探しながらこちらも進もう」と 猿のように敏捷に樹上を跳ぶ体術で 木々の枝から枝へと 翔びながら 下を探って行きます 一方 根黒忍法僧達は 森の先の川筋までやって来ては あまりにも 少年の行方の手がかりが無さすぎるのに「おい まさか 反対側 甲生州方面へ あやつ向かったんじゃないのか?」と千本坊が言えば 大きな体を揺らせて「わしらだけでも 今一度 甲生州方面へ向かうか」と答える覇力坊(はりきぼう) 残りの僧達は「ふん どちらでもよいわ 皆ここで一度 別れてあの小僧を探すとしよう」とあの黒い縄を胴体に巻いた小柄な黒縄坊(こくじょうぼう)の一言で バラバラと散って行きました 御堂少年 樹上にて 再び 山葡萄を食しながら ひとまず休憩をとっていると 樹上後方より 颯が追い付いて「坊 いや 護様 ご無事でしたか よかった」と声をかけるのに 不思議な顔で「颯さん 父上は? 先に行ってるのかな?」 「いや 私があの荒れ寺に着いた時には もう 火柱で跡形もなく 燃え尽きていました」 「そんなぁ 父上が負けたのですか? いや 火柱を使って目眩ましで脱出したのでは?」 「いや それならば 何故 今ここにおられないのですか? 甚一郎様は。。。。。私にも信じられませんが どうもやつら尋常なやつらではないようです 」 「僧侶達が?」 「喜洲の根黒寺に 忍法を持って生業としている 根黒忍法僧達がいると聞きます おそらく その流れを組む物達だと思います 護様 父の敵を伐とうなどとは考えず すぐに 印西の里へ戻ることを優先します 父上から これを受けとりました」と 颯が見せたのは 武田の武者に一筆書かせた書状でした そこには 「武田にて異変あり また何者かが 無間の眸を狙っていると思われる」と。。。。。 「わかった ならばすぐに 印西に向かいましょう 」 「が やつらもばかじゃない ここから印西に向かう道々にて 我らを探索しているのは目に見えるじゃから ここから 遠回りして まずは北上して 迂回して 印西の反対側より入りましょう いざ」と 二人 猿公の術で 森の樹木を自在に 跳んでは 北へ北へと向かいました
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