序章 追われる少年

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狭羽湖 神州一の大きさを誇る 大きな湖 冬場においては 湖面が凍りつき そこを御神渡りと称する 湖面の氷が割れて 道ができると言う神事もある 狭羽湖 草原を抜けきって すぐに 街道筋へと出て 渡し船を探す  颯と御堂護少年 いつのまにか行商人の姿をしています 一方 あとを追って来ていた 黒縄坊に 千本坊 覇力坊も加わって 護少年の探索をまた 手分けして行っています 彼らは 菅笠を被り 雲水のような姿に成っています 渡しの船宿を見つけた 颯 すぐに 船の手配を頼むと 渋々と 「今なあ 渡しはやってないんじゃがなあ 」と受けたくないように。。。。。 「ならばこれでは?」と おやじの言い値の倍額の金子を出す 颯に おやじも 笑顔で「わかりやした では すぐに手配をしましょう」となりました。 船宿内にて休息をとりつつ 昼の食事をいただいていると 同じように 雲水が一人 訪ねて来ては 「おやじどの 私は 向こう岸の羽流寺へ急いで行かねばならぬのじゃが 船を出してもらえるかのぉ」と言っております そう言っては 船宿の食事どころを見舞わす 雲水 颯 はっと気がつくや 馬鹿な あやつ 先に倒した根黒忍法僧ではないか? そうです 絶命したはずの 黒縄坊がまたもや 出現したのです それに驚くも 冷静にしては 何も言わず おやじを呼び出して  「すぐに頼む 彼の言う寺とは方向が違いますねえ ではすぐに」と小声で言っては また小金を渡せば おやじ「わかりました こちらのお客さんを送って来ます 雲水さんは 今出てる船が そちらの方面に向かうので そちらでお待ちください」と 何事もなかったように ことが運んでいくかと思うも いやいや そうは簡単にはいきませんでした 黒縄坊は「わかりもうした では 待たせてもらうとするか」と 颯達と入れ換えに 食事処へと入り込み 座っています それを横目に 颯と護少年の行商人の親子連れは 船着き場へと向かいます 船着き場の椅子に座った時でした いきなり 颯の首へ 巨大な手のひらが食い込み 「行商に化けようが忍びの匂いは消せてないぞ 忍法流体」と言われるも 椅子の後ろに隠れる場所もなく この手のひらはどこから?と思いつつ 意識が遠のく 颯 厠へ寄っていた 護少年 異変に気がつき その手のひらへ 小刀で切りつけて それを外しましたが ああ 無惨なり 颯は絶命していました  しかし その手のひらの持ち主は何処?と探すよりも 一気に 小舟に乗り込み 船を出してもらいます 「何ぃ 仲間など関係なく 湖へ逃げるだとぉ 待てぇ」と声だけが聞こえるも 「黒縄坊 千本坊 早くしろぉ小僧が船で逃げおったぁ」と大きな声だけが 響き渡る 狭羽湖畔 「ええい 流体に成っていなければ すぐに湖へ飛び込んでも追いかけたのにぃ 貴様ら なんで 早く来ないんじゃぁ」と なんと 覇力坊 忍法流体と言う技で 颯を倒すも その技は 体を液体化する技で 相手に気づかれることなく 相手を抹殺するのに好都合なのだが 液体化してるため 水に入ったりしたら 雲散霧消と体が消えてしまうために 湖に飛び込んで追うことが出来なかったそうで 護少年にとっては 幸いとなりました 「ええい 船で追っていては間に合わぬ 湖畔を走れ 我らの速度なら 大差ないはずじゃぁ」 と 三名の雲水 (いや一人はまだ 半透明な姿をしているが) 忍び走りで 狭羽湖畔を走り出しました。 護少年よ 唯一の仲間だった颯も失い このまま 船で 湖を渡っても 逃げおおせるのか 不可思議な根黒忍法僧達から?
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