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とくにキレイでもない普通の海を、唯一の観光資源にしている小さな町の居酒屋。
その洗い場で、143枚目の皿を洗い終え5時間のバイトが終わった。
日が変わる手前の海岸線を、相棒のママチャリに跨ってノロノロと走る僕。
首を左に向けると、月明かりの下で光を反照した水面が柔らかな輝きを放ち、漆黒の世界に染まるのを押し留めている。
少し先に見えるマンションの真上で世界を見下ろす満月は、輪郭をぼやかせながら妖艶な雰囲気を醸し出していた。
今日の満月はやけに大きい。
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