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Case.02 『確認しよう!』
「喉渇いたぁ」
ある男性が自販機の前に車を停めました。彼はエンジンを切り、車をそこに停めて車外に出ると、服の襟元をパタパタさせて胸元に風を送りながら、自販機の前までやってきます。お茶、ジュース、コーヒー……どれにしようかな? と物色し、お金を入れてジュースのボタンをポチっと。ガコンと音がして落ちてきた缶ジュースを取り出し口から抜き取ります。
いつもの癖で、ついでにおつりの取り忘れが残っていないか確認しますが、残念。取り忘れの硬貨はありませんでした。
「ちぇっ」
彼は残念そうに舌打ちすると、買ったジュースのプルタブを起こし、プシュッと音を立てて蓋を開けました。ごくごくごく、と喉を鳴らしてジュースを喉に流し込みます。
「ぷはーっ、生き返ったぁ~!」と思わず言いそうになります。ジュースはあっという間に彼の胃の中に収まりました。さらに缶を逆さにして、最後の一滴まで飲み干します。やがて首が疲れた彼は頭とジュースの空き缶を持っている腕を下ろし
ぐしゃっ!
その瞬間、空き缶は潰れてしまいました。彼もろとも一瞬にして。
彼は大事なことを忘れていました。
自販機に残っているおつりのことなんか気にしている場合ではなかったのです。そんなことよりもっと大事なことを忘れていました。
それは車を降りる前に絶対しなくてはいけないこと。
彼はシフトレバーをPレンジにするのを忘れていました。
さらにそこは地面が少し傾斜していて、車がゆっくりと下降を始めたのです。前にある自販機に向かって。その結果、その間に挟まれてしまうというこんな痛ましい事故が発生してしまいました。サイドブレーキの引き方があまかったりする場合にも起こります。
些細なことかもしれませんが、車を停車させるときは、サイドブレーキを引いたあとシフトレバーがPレンジになっているか、必ず確認しましょう。
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