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クマの親子と小助くんの出会い
小助が森の中へ入ると、そこには今まで見たことのないものであふれています。4本足ですすんでいくそのまわりには、たくさんの大きな木が広がっています。
赤ちゃんの男の子をむかえるのは、ところどころにさいている草花たちです。1人で歩きつづける小助ですが、森のしぜんはかわいい子どもをやさしく見まもっています。
けれども、大きな木にかくれながらそのようすを見るお母さんは、小助から目をはなすことができません。
「小助くんがこわいけものに見つかりませんように……」
たった1人だけの子どもだからこそ、お母さんは早く家につれて帰りたいところです。しかし、森の中にはこわいクマやオオカミがどこにひろんでいるのか分かりません。
すると、森の山道にどうぶつらしき足あとがあるのをお母さんが見つけました。そこにあったのは、お母さんがおそれていたあのけものの足あとです。
「そっちへ行ったらダメ! そこには大きなクマやオオカミが……」
お母さんは、先へすすむ小助にむかって大声でさけびました。しかし、その声は小助の耳にとどいていません。
その時、小助のむこうにある草むらから何かごそごそする音が聞こえてきました。草むらからあらわれたのは、子グマ2ひきを引きつれた大きなクマです。その体つきは、小助とくらべものになりません。
あれだけの大きなクマにおそわれたら、小助はしんでしまうかもしれません。
「ど、どうしよう……。わたしのだいじな赤ちゃんが……」
クマに近づく小助のすがたに、お母さんは思わず手で顔をかくしました。けれども、お母さんの耳に入ってきたのは、子グマのかわいい声です。
お母さんがおそろおそるとクマたちのほうを見ると、そこには小助が子グマとじゃれ合いながらあそんでいます。
どうやら、小助は子グマとおすもうごっこをしているようです。まだ2本足で立つのがやっとの小助ですが、子グマと組み合ったらその力をあっという間に見せつけます。
「わっ! またまけちゃった」
後ろにおしりをついてまけてしまった子グマは、まだ赤ちゃんの小助の強さにびっくりしています。そんな小助に、大きなクマが声をかけてきました。
「ふふふ、こんなに強い人間の赤ちゃんは今まで見たことがないわ」
その大きなクマは、子グマたちのお母さんです。森の中で見るのが何もかもはじめての小助は、クマたちを前にしてもまったくこわがるようすを見せません。
そんな小助は、お母さんグマにへばりつくとそのまま何かをねだっています。これを見たお母さんグマは、小助が何をしたがっているのかすぐに分かりました。
「もしかして、ぼうやはおっぱいがのみたいのかな?」
小助は、お母さんグマにだかれながらキャッキャッとうれしそうなしぐさを見せています。こうして、お母さんグマは小助に自分のおっぱいをのませることにしました。
「さあ、おっぱいをたくさんのんでごらん」
小助は、お母さんグマのおっぱいをおいしそうにのんでいます。となりでは、2ひきの子グマも自分たちのお母さんのおっぱいをのんでいるところです。
お母さんグマは、小さい人間の赤ちゃんが自分の子どもといっしょにおっぱいをのむようすにやさしい目つきで見つめています。
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