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森の中の先生
いつものように森の中へやってきた小助は、よちよち歩きでサルがまっている大きな木へ向かってすすんでいます。
「サルさん! サルさん!」
「小助か、お前がくるのをまっていたぞ」
サルは、小助にとって木のぼりを教えてくれる先生です。小助は、高いところまでのぼろうと大きな木にしがみつきました。
「よいしょ、よいしょ、よいしょ」
小助は。手足をつかいながらゆっくりとのぼっていきます。その時、お母さんは近くの木にかくれながら小助のようすを見ています。
「小助くん、あんなに高いところからおちたら……」
お母さんのしんぱいをよそに、小助は高い木のてっぺんをめざしてのぼりつづけています。ここまで高くのぼることができるのも、サルが小助のためにいつも教えてくれたおかげです。
「よいしょ、よいしょ、よいしょ」
「小助、あと少しだ! がんばれ!」
サルからのはげましの声をうけて、小助はこのままてっぺんまでのぼろうと上まですすんでいきます。そして、高い木のてっぺんへやってきた小助は大きな声でサルをよんでいます。
「サルさん! サルさん! こっち! こっち!」
「おおっ! 小助、高い木のてっぺんまでのぼったのか」
サルは、こんなに早く木のぼりをおぼえた小助のすがたにびっくりしています。木のぼりについては、これでサルが教えることはなさそうです。
でも、小助はサルにまだまだ教えてもらいたいことがいっぱいです。木のぼりをおえてもどってきた小助は、サルにへばりついてはなれようとしません。
「サルさん! サルさん! ねえねえ!」
「そんなに言うなら、べつのことを教えるとするかな」
サルがことばをかけると、小助はキャッキャッとうれしそうなえがおを見せています。小助がよろこんでいるすがたを見て、サルはさっそく大きな木をゆうゆうとのぼっていきます。
「小助、これから木へとびうつるれんしゅうをするぞ」
これから行うのは、森の中にある木から木へ手をつかってとびうつるというものです。サルは、いつも行っているとあって手なれたようすでとびうつっています。
近くの木にいるお母さんは、自分のだいじな子どもがじめんにおちてしまうのがしんぱいでたまりません。
「どうか、小助くんがぶじでありますように……」
お母さんがいのっている中、小助はサルの後をおうようにつぎの木へとびうつろうとします。空中へういた小助は、目の前にある木の太いえだに右手をかけました。
「おっ! はじめてにしてはじょうずにできているなあ」
サルは、木から木へとびうつる小助のすがたをやさしく見つめています。けれども、小助はそのとちゅうでむちゅうになるものを見つけてしまいました。
小助が木の上から見つけたのは、お母さんグマが子グマ2ひきにおっぱいをあたえているところです。これを見たとたん、小助は手足をつかって木からおりるといそぎ足でお母さんグマのそばへかけよりました。
「かあちゃ! おっぱい! おっぱい!」
「ふふふ、こっちへおいで」
小助は、お母さんグマのおっぱいをいっぱいのみつづけています。お母さんグマは、小助のやさしい顔つきを見ながらやさしく見つめています。
そのようすを木のうえからながめているのは、小助の先生であるサルです。
「やれやれ、小助はどうぶつのおっぱいをのむのが大すきなんだから」
木のぼりも木わたりもうまくできるようになった小助ですが、まだ赤ちゃんなのでおっぱいをのむことにむちゅうなのはしかたがありません。
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