みんなでたべるスイカはおいしいね

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みんなでたべるスイカはおいしいね

 夏のあつい中、小助は森の中をげんきいっぱいに歩いています。でも、今日はいつもとちがいます。 「よいしょ! よいしょ!」  小助がりょう手でかかえているのは、畑で取ったばかりの大きなスイカです。森のどうぶつたちにもたべさせてあげようと、小助はスイカをおとさないようにしながらすすんでいます。  そんな小助のようすを見ているのは、後ろからついていくお母さんです。お母さんは、いつもクマやオオカミたちとあそぶ小助がしんぱいでたまりません。 「小助くんとよくあそぶのがクマやオオカミだし、いつもしんぱいだわ」  お母さんは、小助くんとちがってクマやオオカミになかなか近づくことができません。でも、スイカを切り分けることができるのはお母さんしかいません。  小助の目の前には、いつもあそぶ子グマやちびっこオオカミがまっています。お母さんグマやオオカミのむれは、後ろにかくれながら子どもたちのようすを見ています。 「よいしょ! よいしょ! よいしょ!」 「ねえねえ、なにもってきたの?」 「スイカ! スイカだよ!」  クマやオオカミの子どもたちにとって、スイカを見ることはあまりありません。小助は、 スイカのなかみがどんなものなのかを見せようとお母さんをよびます。 「かあちゃ! かあちゃ! こっちこっち!」 「小助くん、どうしたの?」  お母さんは、小助に引っぱられるように子グマとちびっこオオカミの前へきました。小助は、どうぶつたちの前でお母さんをしょうかいしようとします。 「ぼくのかあちゃ! ぼくのかあちゃ!」  口をあけてげんきな声を上げる小助のすがたを見て、子グマもちびっこオオカミも小助のお母さんをじっとながめています。 「そんなにこわがらなくても……」 「ぼくたち、ぜったいにおそったりしないから」 「本当に大じょうぶなの?」 「大じょうぶだって! ぼくたちをしんじて!」  お母さんは、クマやオオカミの子どもたちの言うことをしんじることにしました。 「スイカ! スイカ! スイカ!」 「ふふふ、それじゃあみんなでスイカを食べてみようかな」  小助が地べたにスイカをおくと、お母さんはそのスイカを切り分けています。そのようすを木の上から見ていたサルも、すぐにとびおりては小助たちのそばへやってきました。 「サルさん! スイカ! スイカ!」  サルは小助のげんきな声を耳にすると、お母さんが切っているスイカをじっと見つめています。それに気づいたお母さんは、サルにやさしく話しかけようと声を出しました。 「サルさんもたべたいのかな?」 「こんなにおいしいのをたべないわけにはいかないぜ」 「それじゃあ、サルさんにもスイカを切ってあげるからね」  お母さんは、切り分けたスイカをどうぶつたちに分けあたえています。子グマやちびっこオオカミは、スイカのなかみが赤いことにびっくりしています。 「さあ、みんなでたべてごらん」  どうぶつたちは、小助のお母さんが切ったスイカを口に入れています。あまりのおいしさに、サルも子グマもやちびっこオオカミもスイカをたべつづけています。  小助も、切り分けたスイカをつぎつぎと口に入れてはおいしそうにたべています。大きな口でかぶりつく大すきなスイカに、小助はよろこびをかくせません。 「かあちゃ! おいしい! かあちゃ! おいしい!」 「ふふふ、小助くんはスイカが大すきだものね」  お母さんは、小助のえがおを見ながらやさしくほほえんでいます。森の中でたべるスイカは、人間の子どももどうぶつの子どもも大すきなあつい夏にぴったりのたべものです。
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