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赤ちゃんの男の子とお母さん
むかしむかし、ある山おくに古びた小さな家がありました。
その家のまわりには田んぼやはたけがいくつかありますが、ほかの家は1つも見当たりません。
そんなある日、小さな家の中から山の中まで聞こえるほどの元気ななき声がひびきわたりました。
「おぎゃあ! おぎゃあ! おぎゃあ!」
女の人がだいているのは、生まれたばかりの男の子の赤ちゃんです。ぽっちゃりとしたその赤ちゃんのすがたに、女の人はやさしい顔つきで見つめています。
「このまますくすくと元気にそだってくれれば」
そんな男の子の赤ちゃんに、女の人は小助と名づけることにしました。お母さんとなった女の人は、小助のためにみどり色のはらがけを作りました。
こうして、小助はお母さんのおっぱいをいっぱいのんですこしずつ大きくなりました。それとともに、手足をつかって家の中を4本足のようにして歩くようになりました。
「もうっ、小助くんはいつも元気なんだから」
どこでも4本足で走り回る小助の動きに、お母さんもついて行くことができません。赤ちゃんにとって、家の中はいろんなぼうけんをするのが一番の楽しみです。
赤ちゃんは何かしたいことがあると、すぐに大きな声でなきさけびます。ことばを話すことができない小助は、お母さんをよぼうとなき声を上げています。
「おぎゃあ! おぎゃあ! おぎゃあ!」
その声を聞いて、お母さんはすぐに小助のそばへやってきました。お母さんは、あんよを上げてなきつづける小助に近づこうとします。
「ジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョジョジョ~ッ」
「うわっ!」
お母さんは、小助のおしっこが自分の顔にかけられて思わずびっくりしました。でも、おしっこがふんすいのように上がるのは、小助がいつも元気であるからです。
小助が大声でなくのは、おしっこのときだけではありません。おっぱいがほしいときも、ねむたくなったときも、お母さんの前でなき声でさけんでいます。
小助の元気さにふり回されながらも、お母さんはえがおで赤ちゃんのおせわをつづけています。
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