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遠くでサイレンが聞こえる。
あの子が呼んだのだろうか?
いつかはこうなると分かっていたから、僕は用意してあった現金の入った鞄を担いた。
「母さん、ちょっと出かけてくる。夕飯までには帰るから心配しないで」
「そう…雄基、今晩の夕食は何が良い?」
「そうだなぁカツ丼なんてどう?」
「あら、珍しい」
「たまには良いよね」
験担ぎも兼ねて。
「それじゃあ、行ってきます」
僕は玄関を閉めた。
サイレンの音を聞きながら。
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