また見つけてね

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 木漏れ日の光を受けながら、すくすくと育とうとする朝顔に今日も僕は話しかける。 「今日はどこから食べる?」  一畳あるかないかくらいのスペースのベランダに、息子が学校から持って帰ってきた朝顔がある。うちのベランダは大きな木が一本がたっているため、そこまで日差しが入ってこない。夏は日陰になるから涼しいけど、冬になると少し寒くてちょっと辛い。だから息子には「朝顔どっかに埋めてきちゃいな」って言ったけど、息子が顔を膨らまして 「いやだ。絶対嫌だ。ちゃんと育てるもん」って聞く耳を持たないだから。 「本当に育てられるの」って気持ちを揺さぶってみたら 「大丈夫!毎日ノートに書くもん」って膨れてたつぼみが一気に咲き誇るくらい満面の笑みで言われるもんだから、少し心配だけどおいてあげた。  けど、やっぱり続かなかった。三日坊主にはならなかったけど、毎日毎日友達から遊びの約束に誘われるもんだから、 「今日は日記つけたの?」って聞いたら 「まだ、つけてなーい。あとでやるー」  だってさ、やっぱりこうなるんじゃないかなと思ってたんだ。だけどね、君が開いていく姿を見たかったんだ。君の日記がどうなっていくのか、私も気になってたんだ。だから、僕が付けることにしたよ。僕が付ければ、君もやってくれるに違いない。だから代わりにつけてあげて、ノートが気になるようにテーブルに毎日置いておこうと思う。  そしたら案の定、君が気になって見てくれた。 「今日は朝顔三つ開いてるよ」  
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