出会いは唐突に

2/44
前へ
/194ページ
次へ
「いや、あの…」  何て言って断れば良いんだ?忙しいとか?いや、でもさ、これからあと十分も俺はこのバス停にいるんだけど…。 「あの、ほんの少ししか迷惑はおかけしませんから!」  俺に迷惑かかるんだ?! 「話だけでも…」  彼女は綺麗な半円をしている眼でじっと俺を見つめてくる。 そんな潤んだ瞳で見ないでくれ。何か俺が悪いみたいじゃないか。  うう…。 「いや、俺、バス待ってるんで」 「じゃあ、バスが来るまでの間はお時間あるんですよね!」 やんわり断ったつもりなのに彼女には通じなかったのか、無邪気な笑みを彼女は浮かべた。  あ〜もぅ、俺の馬鹿!この正直者!!  心の中で俺は自分を罵倒した。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加